鹿瀬のじいちゃんの思い出
阿賀野川は、下は安田町、上流は鹿瀬まで釣りができる。数年前、ある筋から鹿瀬の阿賀野川本流は8月にはいると25センチオーバーに成長するという話を聞きつけ、初めてのポイントである鹿瀬まで行った。上流ということで、どんなに流れが速いか、そして石が大きいかとおもっていたが、予想と反して緩やかな流れであった。まず驚いたことは、岸で洗濯竿を使って門のように組み立て、のんびり置き竿で鮎釣りをしているおじさんがいる。ほとんど、河川を自分の土地にしている・・・。こんなので掛かるのかと思ってみていると、時々竿がしなり釣れているようだ。さて、それを見ながら、私も入川。かなり石の上は滑るようだ。鮎を送り出してみると、流れも緩やかなせいもあって、するすると泳いで上ってくれる。しかし、いっこうに掛からない。正味1時間。まったくもってだめ。しかし、もうひとりのじいちゃんに私は注目していた。すぐ近くで、それも竿を特に動かすでもなく、しかしながら確実に鮎を釣っている。う〜ん、どうしてあのじいちゃんが・・・。場所移動の途中、じいさんに声を変えると、なんと、じいさんは釣れる訳を話して聞かせてくれた。
「いやー、回りはつれねぇぞ、若いもん。あのなぁ、おれと友だちとで、あそこの石とあそこの石とあそこの石を一週間前にたわしで磨いたんだ。ほかは、アカが腐ってるからだめだ。ほら、あそこみがいたどごろだから、やってみろ。」
私は、じいさんの言われたように、右だー、左だーと言われながらも、鮎を送り込む。すると、「来たー」今日初めてのヒット。確かに、じいちゃんが石を磨いた場所は違う。アカ腐れの時は、効果あり。じいちゃんが帰ってからも、私はこのピッカピカな石周辺を釣ってみたが、なぜかじいちゃんほどは釣れなかった。さすがは、鹿瀬・阿賀野川の主のじいちゃんは違う。
この話を友人に話すと、一週間後に車にデッキブラシが用意されていた。これって、大会の時も使える話じゃないだろうね!